金投資の始め方|おすすめ商品と失敗しない選び方
公開:2026年9月2日
金へ投資する方法は、大きく分けてETF・投資信託・現物の3つがあります。同じ金価格への投資でも、手数料、売買方法、税金、NISAの利用可否が異なります。
この記事では、購入から保有、売却までにかかるコストを確認しながら、主要な金投資商品を比較します。
※本記事は2026年9月時点の情報です。投資判断は最新情報を確認のうえ、ご自身で行ってください。

金投資の主な選択肢
金価格への投資方法は、証券口座で購入するETF・投資信託と、貴金属店などで購入する現物に大きく分けられます。
- ETF:取引時間中に市場価格を見ながら売買できる
- 投資信託:金額を指定して自動積立しやすい
- 現物:金地金や金貨を自分で保管できる
それぞれの買い方やコスト、税制の違いをまとめると、次のようになります。
| 比較項目 | 金ETF低コストと売買の自由度 | 金投資信託少額の自動積立 | 金の現物実物を自分で所有 |
|---|---|---|---|
| 買い方 | 取引所でリアルタイム売買 | 金額指定・積立注文 | 貴金属店などで地金・金貨を購入 |
| 最低投資額 | 銘柄により数千円〜2万円程度 | 金融機関によっては100円程度から | 数万円以上になりやすい |
| 主なコスト | 信託報酬・売買手数料・価格差 | 信託報酬 | 価格差・売買手数料・保管費用 |
| 自動積立 | 証券会社による | 対応しやすい | 純金積立サービスなら可能 |
| NISA | 対象銘柄は成長投資枠に対応 | 対象商品のみ成長投資枠(対象外もあり) | 対象外 |
| 売却時の税制 | 上場株式等として申告分離課税 | 公募投資信託として申告分離課税 | 原則、総合課税の譲渡所得 |
| 向いている人 | コストと機動性を重視する人 | 少額で積み立てたい人 | 実物を所有したい人 |
- 買い方
- 取引所でリアルタイム売買
- 最低投資額
- 銘柄により数千円〜2万円程度
- 主なコスト
- 信託報酬・売買手数料・価格差
- 自動積立
- 証券会社による
- NISA
- 対象銘柄は成長投資枠に対応
- 売却時の税制
- 上場株式等として申告分離課税
- 向いている人
- コストと機動性を重視する人
- 買い方
- 金額指定・積立注文
- 最低投資額
- 金融機関によっては100円程度から
- 主なコスト
- 信託報酬
- 自動積立
- 対応しやすい
- NISA
- 対象商品のみ成長投資枠(対象外もあり)
- 売却時の税制
- 公募投資信託として申告分離課税
- 向いている人
- 少額で積み立てたい人
- 買い方
- 貴金属店などで地金・金貨を購入
- 最低投資額
- 数万円以上になりやすい
- 主なコスト
- 価格差・売買手数料・保管費用
- 自動積立
- 純金積立サービスなら可能
- NISA
- 対象外
- 売却時の税制
- 原則、総合課税の譲渡所得
- 向いている人
- 実物を所有したい人
投資にかかるコストの低さでは、ETFが優勢ですが、積立のしやすさを重視するなら投資信託が有力です。
金鉱株も金に関連する投資方法ですが、性質は異なります。
| その他の方法 | 特徴 | 注意点 |
|---|---|---|
| 金鉱株・金鉱株ETF | 金を採掘する企業の成長や配当を狙える | 金価格だけでなく、企業業績や採掘コストにも左右される |
金ETF:低コストとリアルタイム売買が強み
金ETFは、金価格への連動を目指す上場投資信託です。日本株と同じように証券口座で売買でき、取引時間中は価格を指定して注文できます。
比較したい金ETF
| コード | 銘柄名 | 実質的な信託報酬(税込) | 売買単位 | 最低投資額の目安 | 特徴 |
|---|---|---|---|---|---|
| 447A | ステート・ストリート・スパイダー ゴールド ETF(為替ヘッジなし) | 年0.177%程度 | 10口 | 約2,500円 | 保有コストが最も低い。2025年11月上場と新しい |
| 1540 | 純金上場信託(現物国内保管型)〈金の果実〉 | 年0.440% | 1口 | 約21,000円 | 金現物を国内保管。2007年上場で純資産総額は最大規模 |
どちらもNISA成長投資枠の対象です。信託報酬と売買単位は日本取引所グループの金ETF一覧および各運用会社の公表値を参照しています。最低投資額は2026年9月1日時点の市場価格をもとにした概算で、金価格や為替の変動によって上下します。
ETFの注意点
- 取引時間中は価格が動き、金価格と完全に同じ値動きになるとは限らない
- 今回紹介していない金先物で運用するETF(1328など)は、信託報酬に表れない乗り換えコストが生じることがある
どの証券会社で買っても中身は変わらない
同じETFをSBI証券、マネックス証券、楽天証券のどこで購入しても、ETFの中身、信託報酬、東証での市場価格は同じです。NISAにおける国内ETFの売買手数料も各社で原則無料となっているため、NISAで保有するだけならすでに利用している証券会社で買うという選び方で大きな問題はありません。
違いが出る可能性があるのは、ETFの自動積立機能、単元未満取引への対応、注文画面の使いやすさなどです。
投資信託:少額の自動積立に向く
投資信託は、毎月一定額を自動で積み立てやすいのが最大の利点です。ETFと異なり「1口」ではなく金額を指定して購入できるため、毎月1万円など予算を固定しやすくなります。
低コスト金投資信託を3商品で比較
| 商品 | 実質的な信託報酬(税込) | 特徴 |
|---|---|---|
| SBI・iシェアーズ・ゴールドファンド(為替ヘッジなし) | 年0.1838%程度 | SBI・マネックス・松井など複数の証券会社で購入可能 |
| 楽天・ゴールド・ファンド(為替ヘッジなし) | 年0.2925% | 楽天証券で購入可能 |
| マネックス・ゴールド・ファンド | 年0.1538〜0.1838%程度 | マネックス証券で購入可能 |
いずれもNISA成長投資枠の対象で(つみたて投資枠は対象外)、購入時手数料と信託財産留保額はかかりません。なお、投信の保有残高に応じたポイント還元は各社にありますが(SBI証券の投信マイレージ、マネックス証券の投信保有ポイント、楽天証券の残高ポイントなど)、低コストのファンドは付与率が低い、または対象外となることがあります。付与率や対象銘柄は変更されるため、購入時点の各社の条件を確認してください。
ETFより投資信託が向くケース
- 毎月同じ金額を自動で積み立てたい
- ETFの取引時間や板を気にしたくない
たとえば、447Aの年0.177%程度とSBI・iシェアーズ・ゴールドファンドの年0.1838%程度との差は、100万円を1年間保有した単純計算で約68円です。一方、マネックス・ゴールド・ファンドは純資産総額に応じて実質的な信託報酬が変わります。実際には基準価額との連動差やその他費用もあるため、わずかな信託報酬の差だけでなく、積立を継続しやすい方法かどうかも含めて選びましょう。
為替ヘッジあり・なしの選び方
金の国際価格は米ドル建てで取引されるため、日本円で見た金価格は為替の影響も受けます。
- 為替ヘッジなし:円安時に価格が押し上げられやすい。円安や日本円の購買力低下への備えも兼ねたい人向け
- 為替ヘッジあり:円相場の影響を抑え、金そのものの値動きを捉えたい人向け。ただしヘッジコストがかかる
長期の分散投資で「円以外の値動きも持つ」ことを目的にするなら、為替ヘッジなしのほうが考え方はシンプルです。
金の現物:所有する安心感と引き換えにコストが高い
現物投資では、金地金や金貨を貴金属店から購入します。金融機関やファンドを介さず、金そのものを自分で所有できることはETF・投資信託にはない特徴です。
ただし、少額の地金ほどコスト負担が重くなります。田中貴金属では、小売価格と買取価格に差があるほか、500g未満の地金に別途手数料がかかります。
田中貴金属の2026年9月時点の手数料は次のとおりです。
| 購入する金地金 | 購入時の別途手数料(税込・1本あたり) |
|---|---|
| 500g・1kg | 無料 |
| 100g・200g・300g | 16,500円 |
| 50g | 13,200円 |
| 5g・10g・20g | 8,800円 |
売却時も、1件の合計重量が500g未満の場合は2,200円〜16,500円の別途手数料が設定されています。さらに自宅保管なら盗難・紛失リスクがあり、貸金庫などを利用すれば保管費用がかかります。
純金積立:現物を少額から買い付ける方法
田中貴金属などの純金積立は、毎月一定額で金を自動購入でき、サービスによっては積み立てた金を地金や金貨として引き出せます。地金をまとめて買う資金がなくても、現物の保有を目指せる方法です。
ただし田中貴金属の手数料一覧では、月3,000〜29,000円の積立購入に2.8%、月30,000〜49,000円に2.2%、月50,000円以上に1.6%の積立手数料が設定されています。年0.1〜0.3%前後の低コスト投信・ETFと比べると、購入時の負担は大きくなります。
単に金価格へ連動する資産を毎月積み立てたいなら投資信託が効率的です。将来は現物として引き出したい、証券口座とは分けて管理したいなど、純金積立を選ぶ目的があるかを確認しましょう。
現物が向くケース
- 金融商品ではなく、実物資産を直接所有したい
- 災害や金融システム障害などへの備えを重視する
アクセサリーは加工費やブランド価値が価格に含まれるため、金価格への投資効率だけを求める用途には向きません。投資目的なら、信頼できる事業者の地金または投資用金貨を比較する必要があります。
金鉱株:金そのものではなく採掘企業への投資
NewmontやBarrick Miningなどの金鉱株、複数の採掘企業へ分散する金鉱株ETFもあります。金価格が上昇すると採掘企業の利益が大きく増える可能性がある一方、次の要因にも左右されます。
- 採掘・人件費やエネルギー価格
- 鉱山事故、埋蔵量、操業地域の政治リスク
- 企業経営、負債、配当方針
- 株式市場全体の値動き
金価格以上の値上がりを狙える可能性はありますが、下落幅も大きくなり得ます。資産防衛や金価格への連動が目的なら、金鉱株を金ETF・金投資信託の代わりとして扱わないほうが安全です。
税金の違いは必ず確認する
ETF・投資信託
金ETFと公募の金投資信託は、原則として売却益に20.315%の税率がかかります。特定口座を利用でき、一定の条件でほかの上場株式等との損益通算も可能です。
NISA成長投資枠の対象商品をNISA口座で購入すれば、売却益は非課税です。ただし、NISA口座の損失は課税口座の利益と損益通算できません。
金の現物
金地金の売却益は、原則として給与所得などと合算する総合課税の譲渡所得です。国税庁の解説では、所有期間によって次のように扱われます。
- 所有期間5年以内:譲渡益から特別控除を差し引いた金額が課税対象
- 所有期間5年超:特別控除後の金額の2分の1が課税対象
- 特別控除:金地金以外の総合課税の譲渡益と合わせて年間最高50万円
現物は「利益50万円までは必ず申告不要」という意味ではありません。ほかの譲渡所得、売買の継続性、所得状況などで扱いが変わります。取得価格を証明する領収書や計算書は、売却まで保管しておきましょう。
NISA枠を株式で使い切るなら特定口座も候補
NISAの非課税メリットは大きいものの、成長が期待できる株式ファンドを優先してNISA枠を使う考え方もあります。
金を買う前に知っておきたいリスク
- 金は預金と異なり元本保証ではなく、価格が大きく下落することがある
- 株式の配当や債券の利息のようなキャッシュフローを生まない
- 為替ヘッジなしの商品は円高になると円換算価格が下がりやすい
- 資産の大部分を金に集中させると、株式などの成長を取り逃す可能性がある
金は資産全体を一気に増やす主役というより、株式や現金とは異なる値動きを期待して組み合わせる分散先として考えるのが基本です。購入前に、資産全体のうち何%まで保有するかを決めておくと、価格上昇時の買い過ぎを防ぎやすくなります。
まとめ
- 低コストと売買の自由度を優先するなら金ETF
- 積立のしやすさを優先するなら金投資信託
- 実物を所有する安心感を優先するなら金地金・金貨
よくある質問
Q.金投資はETFと投資信託のどちらがおすすめですか?
A.リアルタイム取引と低い保有コストを重視するならETF、自動積立と金額指定の買付を重視するなら投資信託が向いています。少額で長く積み立てる初心者には投資信託が扱いやすいでしょう。
Q.金の現物はNISAで買えますか?
A.金地金や金貨はNISAの対象外です。一方、対象となる金ETFや金投資信託はNISAの成長投資枠で購入できます。
Q.為替ヘッジありとなしはどちらを選ぶべきですか?
A.円安への備えも目的なら為替ヘッジなしが分かりやすい選択です。金そのものの値動きを円相場の影響を抑えて捉えたい場合は為替ヘッジありが候補になりますが、ヘッジコストがかかる点に注意が必要です。